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Vol.1|ホリバリアンの熱が世界を動かす|堀場製作所(HORIBAグループ)

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  • 宮地 宏至

    宮地 宏至HIROYUKI MIYAJI
    株式会社堀場製作所 経営管理部

    財務を長年担当するが、ただの計数管理ではなく、事業・ビジネスに寄り添った貢献をしている。3回の海外駐在を経て、HORIBAスピリットのひとつである「オープン&フェア」の重要性を認識。多種多様なビジネスをもつHORIBAに魅力を感じている。歴史小説好き。

  • 川那辺 智志

    川那辺 智志SATOSHI KAWANABE
    株式会社堀場エステック 戦略企画部

    国内・アジア半導体営業。現在はグローバル事業戦略を担っている。行動力が持ち味。5年間の中国駐在で、「自ら考え、チャレンジし続けること」をモットーに取り組み、中国からみた「本社に対して感じるもどかしさ、ジレンマ」を、今新たな立場で改革に活かしている。格闘技好き。

  • 米盛 正伸

    米盛 正伸MASANOBU YONEMORI
    株式会社堀場テクノサービス Automotive セグメント事業推進部

    グローバルの顧客にハイクオリティのサービスを提供するための企画HQに所属。海外も含めて、人脈・ネットワークを非常に大切にしている。また、バレーボールが好きでドイツ駐在中も、文化、人を知りたいという思いからドイツリーグでプレイしていた。

  • 中井 陽子

    中井 陽子YOKO NAKAI
    株式会社堀場アドバンスドテクノ Bio Industry 事業部

    バイオ分野の新規事業を担当。微生物検査装置の開発プロジェクトの推進。世界を舞台で活躍したいというおもいで入社。HORIBAのフラットで気さくな人間関係に魅力を感じている。歴史、文化などそこの人や組織の根底に流れる価値観や背景に目を向けることを大切にしている。よくわからないこと、新しいことでも何でもチャレンジして進んでいく。中国琵琶を演奏する。

「おもしろおかしく」というユニークな社是を掲げ、グローバルなビジネスを展開する堀場製作所。その社是は一人ひとりの芯となり、会社の文化となり、意欲的な挑戦に結びついている。世界を舞台に活躍する「ホリバリアン」に焦点を当て、同社の魅力と強さに迫る。

堀場製作所とは?

京都市南区に本社を置く分析・計測機器の総合メーカー。「はかる」技術を駆使して、自動車や半導体産業をはじめ新素材、エネルギー、鉄鋼、食品、バイオ、化学をはじめとした多様な分野に、さまざまな製品・サービスを提供している。社是は「おもしろおかしく」。確固たるオーナーシップとチャレンジの姿勢を併せ持ち、仕事を楽しむ従業員を「ホリバリアン」と呼び、そうした人財が成長の原動力となっている。小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」から採取した試料の初期分析に、化学分析チームの一員として参画したことも大きな話題となった。

※本レポートはHORIBAグループの堀場製作所、堀場エステック、堀場テクノサービス、堀場アドバンスドテクノ4社の皆さまへのインタビューとなっており、所属社名等は文中では「HORIBA」と表記いたしました。

クビにはならん。思いっきりやってこい。

座談会の風景

「真面目にやれ」「仕事は遊びではない」。眉間にしわを寄せた上司から、苦言を呈された経験がある人は少なくないはずだ。ただ、ビジネスにおけるハイパフォーマーの多くは、仕事を心から楽しみ、新たなアイデアを生み出すことに喜びを覚え、息をするようにチャレンジを続けている。HORIBAでは、そうした人財を育む土壌が脈々と培われ、「おもしろい」と言えるようになるまで、とことん仕事を楽しんでみようという文化が大切にされている。2009年入社の宮地 宏至さんもそんな人財の一人だ。経理業務をメインに日本、フランス、インド、イギリスと世界を飛び回ってきた。特に印象に残っているのは、イギリスのMIRA社(現:ホリバMIRA社)を買収した際に、現地に駐在し、本社との懸け橋役を務めたことだという。

宮地 宏至
宮地

いわゆる番頭のようなかたちで、ホリバMIRA社に赴任することになりました。当時の上司からかけられたのは『クビにはならんから』という短い言葉。思いっきりやってこい。楽しんでこい。『おもしろおかしく』を掲げるHORIBAならではのメッセージでしたね。

通常、海外への赴任となれば、「本社の方針を徹底させる」「新たな生産拠点をつくる」といった明確なミッションが与えられる。しかし、宮地さんに“それ”が示されることはなかった。トップが現地マネジメントやHORIBA文化の共有を行ってきたという積み上げはあったが、宮地さんには現地メンバーが自動でレポートをあげてくるような明確な肩書きもなければ具体的なTo Do Listもない。現地のマネジメント層にも戸惑いがあったようだ。

宮地 宏至
宮地

あらかじめ企業文化や大きな目標、期待をしっかりと共有したうえで、現地のマネジメントは現地に任せるのがHORIBAスタイル。本当に何も言ってこないので、肩透かしを食らったようです。『何をすればいい?』と本社に問いかけても、『あなたたちはどうしたいの?』と返ってくる。だから、必然的にオーナーシップが生まれるんですよね。現地のマネジメントと一緒になって経営や事業の方向性を考え、軌道に乗せていく。そして、言葉や文化の違いから生じる本社との溝を私が埋めていく。その仕事は楽しく、やりがいの大きなものでした。

本社の意向を強制するのではなく、彼らの意志を頭ごなしに否定するのでもなく、ともに考え、企業の未来を創り上げていく。だからこそ、良好な関係を築き、仲間として認められることができたのだろう。

宮地 宏至
宮地

私には、価値を生む現地の皆さんに感謝と尊敬の想いがあった。彼らには『おもしろおかしく』というHORIBAの文化への共感があった。それが事業を軌道に乗せる大きな要因であったと思います。社是をプリントした手帳や作業着を独自に作成したり、会社の前にある道路に『Kyoto 京都』という名前をつけたり……。海外の人が、自分が勤めてきた会社の文化にあこがれを持ってくれている。これほど誇らしいことはありませんよね。

HORIBAグループの社是は、英語では「Joy and Fun」と訳され、海外法人にもその文化が浸透しているのだという。企業の文化には多様な人財を1つにまとめる力がある。同社の事例は私たちに大切なことを教えてくれている。

居心地の悪さを新たな価値観に。

座談会の風景

その人にとって大きなチャレンジとなる仕事では、必ず困難に立ち向かうことになる。しかしそれを乗り越えたとき、こうした仕事はこの上なく楽しいものになる。2013年に中国・上海での営業拡大を任された川那辺 智志さんは、自ら志願してその機会を勝ち取った。

川那辺 智志
川那辺

せっかく仕事をするなら、いろいろな国の人と関わりたい。そう思ってHORIBAに入社したので、海外赴任の話は大きなチャンスだと思っていました。意外だったのは、『こうしてこい』『ああしてこい』という具体的な指示を一切出されなかったこと。『急成長する中国で、ビジネスを拡大させてきて』といった感じで、ふんわり送り出されましたね(笑)

言葉も十分に理解できない中で、見知らぬ土地で暮らす。海外赴任にはさまざまな困難があった。その中で、特に印象に残っているのは赴任先での周囲の目だったという。

川那辺 智志
川那辺

品定めをされるんですよね。『コイツは何ができるんだ。オレたちに何をしてくれるんだ』といった視線を四六時中、感じるわけです。ただ、彼らも、私も目的は同じ。最初の半年間で、腹を割って話し合えたことが追い風になりました。中国ではあらかじめ明確な方向性を決めるのではなく、走りながら方向転換していく傾向があります。だからこそ、コミュニケーションが欠かせない。とにかく地道に、泥臭く、アクションを実行するうえで『本音でモノを言える信頼関係』が大きく役立ちました。

グローバルならではの予想外の事態も発生した。さまざまな困難にも見舞われた。だが、周囲には信頼できる仲間がいた。最終的に現地の売上は10倍以上に成長。川那辺さんにとっても大きなストレッチになったようだ。

川那辺 智志
川那辺

日本の常識が当たり前になっていた私にとって、グローバルな環境は『居心地の悪いもの』でした。けれど、その感覚ってとても大事なことだと思うんです。海外赴任で広がった視野を再び狭めることなく、物事を考え、判断し、周囲に発信していきたいと考えています。また、中国での経験は、困難や厳しさに挑み、それを乗り越え、喜びや達成感を得られた貴重なものでした。私にとって『おもしろおかしく』とはそういうもの。中国のメンバーと一緒におもしろい仕事ができたことを誇りに思っています。

楽しい仕事にはオーナーシップが生まれる。それが主体的なチャレンジにつながり、飛躍的な成長とやりがいをもたらしてくれる。現代のビジネスパーソンは「仕事への向き合い方」を問われているように思う。

「おもしろおかしく」そのための機会を届けたい。

座談会の風景

M&Aによって海外展開を拡大する。昨今では当たり前となった戦略だが、企業のビジョンや文化の浸透を徹底できている企業はそれほど多くはないだろう。HORIBAでサービスエンジニア、製品開発というキャリアを歩んできた米盛正伸さんは、自らが開発に携わった製品とともにドイツに飛んだ。そこで感じたのは、企業文化という共通言語のありがたみだったという。

米盛 正伸
米盛

ホリバ・ヨーロッパ社における製品の拡販、お客様サポート体制の立ち上げを目的に、ドイツに赴任しました。私たちはエンジニア。『技術で語る』ことももちろん重要ですが、仕事は人対人で行われるもの。まずは、人として信頼されることが大前提だと考えていました。言葉も価値観も違うドイツのメンバーとコミュニケーションを取るうえで、HORIBAの文化・フィロソフィーがしっかりと浸透していたことは大きなアドバンテージでした。グローバル人事部が実施するフィロソフィーのワークショップ等の取り組みに感謝しましたし、私自身もドイツという国を知り、理解する努力を惜しまないよう心がけました。

徹底的に議論し尽くし、全員が納得しないと物事が進まない。ドイツのビジネス文化の中で、「共通言語」の存在は追い風となった。赴任当初は製品や顧客対応において何かがあった時の「火消し役」を務めることが多かったそうだが、次第に、組織の在り方や戦略の方向性などの相談を受けるようになり、違った役割が求められるようになっていったという。

米盛 正伸
米盛

信頼関係が強固になっていくにつれ、『マサはどう思う?』という問いを投げかけられることが多くなりました。ですから、私も彼らのために何がベストなのかを常に念頭に置いた仕事をしていました。例えば、現地のメンバーが顧客への技術説明や修理対応で困っている時も、答えを教えたり、私が対応したりすることはせず、ヒントだけを教えるようにしていました。いつかいなくなってしまう存在に頼りきりでは、自立することはできませんよね? 『なぜ、やってくれないんだ』という不満の声もありましたし、そこに葛藤する自分もいましたが、仲間の未来を考えた行動を貫いたつもりです。

キャリアとは道である。サービスエンジニアとして顧客と向き合い、そこで多くの知見を得た。その知見を製品開発に注ぎ込み、その製品と一緒に海外へ飛び、事業の立ち上げを任された。そうした道を歩んでこられたことも、HORIBAで働く魅力だと米盛さんは話す。

米盛 正伸
米盛

自らの仕事を、人生を、おもしろおかしくする機会に恵まれたと思っています。仕事にオーナーシップを持ち、自ら考え、チャレンジしていける。私たちの世代も、こうした機会を若手メンバーに届けていける存在でありたいですね。

仕事を楽しむ姿勢は多くの人を巻き込む。

座談会の風景

世界を舞台に活躍したい。人に寄り添うモノづくりがしたい。誰もが何かしらの「おもい」を胸に抱いて、社会の門を叩く。そうした人財にチャレンジの機会を提供できるかどうかで、社員のモチベーションは劇的に変わっていくものだ。中井陽子さんは、HORIBAで「おもい」をかなえた一人。「台湾での事業拡大のため、エンジニアを派遣する必要がある」として、海外赴任のチャンスを与えられた。

中井 陽子
中井

現地の新任営業担当とともにお客様のもとに伺い、技術的なディスカッションを通して抱える課題を解決できる製品仕様や評価計画を提案する。そんな役割を任されました。それ以前は日本で営業から寄せられた依頼に応え、実験を繰り返すという日々でしたから、すべてが新鮮でしたね。私たちの製品がどのように使われているのか。なぜ、その機能が求められるのか。これまでにしていた仕事の意味や背景にあるものが見えてきたんです。

しかし、赴任当初は難題の連続だった。技術のことは理解していても意図が伝わらない。通訳を務める営業も技術に関する知識や経験が浅く、専門性の高いディスカッションができなかった。顧客の前でのやりとりもぎこちないもので、「何を言いたいか、まったくわからない!」と叱責されたこともあったそうだ。そこで取り組んだのは、営業担当との意思疎通を徹底すること。そして、お互いに学び合うこと。その結果、少しずつ歯車がかみ合い始めたのだという。

中井 陽子
中井

ただコミュニケーションを密にするだけでなく、技術や専門知識に関する用語集をつくるなど、今後、赴任してくる人や周囲のメンバーにナレッジとして提供できるようにしました。人財一人ひとりに光を当て、『One of them』をつくらないのがHORIBA流。その取り組みが認められて、現地の営業担当者は本社でのブラックジャックプロジェクト(※)において表彰を受けることもできました。仕事がうまく回るようになったのと同時に、そのメンバーにとっては仕事をおもしろおかしくする転機になったのではないでしょうか。

※ブラックジャックプロジェクト:「従業員の意識と行動の変革」を目的として1997年に開始したHORIBA独自の業務改善活動。

対話と理解を深めることで、顧客の反応も大きく変わった。「おもしろおかしく」という社是を体現するような仕事ぶりに、「HORIBAの製品を使いたい」「HORIBAと一緒に仕事がしたい」というファンが増えていったというのだ。

中井 陽子
中井

私たち自身が楽しく仕事をすることは、お客様にワクワクしていただけるような価値を届けることにもつながります。そうしたお声をいただけたことは何よりの喜び。『おもしろおかしく』をより多くの人に届けていける。広めていける。そんな仕事ができていることを幸せに感じています。

これまでにない新たな価値も、多くの人を巻き込むムーブメントも、誰かが夢中になった先で生まれるものだ。イノベーションを創出し、不確実で曖昧な時代を生き抜くためのヒントは、案外、シンプルで本質的な感情にあるのかもしれない。

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