Loading...

Internet Explorer (IE) での当サイトのご利用は動作保証対象外となります。以下、動作環境として推奨しているブラウザをご利用ください。
Microsoft Edge / Google Chrome / Mozilla Firefox

close
menu
Vol.3|エンゲージメントを「企業変革の原動力」に|味の素|ASVエンゲージメントマネジメントサイクルへの取り組み
 

Vol.3|エンゲージメントを「企業変革の原動力」に|味の素|ASVエンゲージメントマネジメントサイクルへの取り組み

Facebookへ共有 Twitterへ共有 LINEへ共有 noteへ共有
  • 野坂 千秋

    野坂 千秋CHIAKI NOSAKA
    味の素株式会社
    取締役 執行役専務 ダイバーシティ・人財担当

    1983年、味の素(株)に入社。研究職に従事し、調味料や加工食品などの開発を手がけ、イタリアの料理修行経験を持つ。上海味の素食品研究開発センター社総経理、食品事業本部食品研究所の商品開発、技術開発の責任者、食品研究所長を歴任し、2019年より現在のダイバーシティ・人財担当。2012年には『日経WOMAN』のウーマン・オブ・ザ・イヤーの一人に選出された。

  • 林 幸弘

    林 幸弘YUKIHIRO HAYASHI
    株式会社リンクアンドモチベーション
    モチベーションエンジニアリング研究所 上席研究員
    「THE MEANING OF WORK」編集長

    早稲田大学政治経済学部卒業。2004年、株式会社リンクアンドモチベーション入社。組織変革コンサルティングに従事。早稲田大学トランスナショナルHRM研究所の招聘研究員として、日本で働く外国籍従業員のエンゲージメントやマネジメントなどについて研究。現在は、リンクアンドモチベーション内のR&Dに従事。経営と現場をつなぐ「知の創造」を行い、世の中に新しい文脈づくりを模索している。

企業のパーパスを求心力に、人財のエンゲージメントを高め、新たな価値の創出に挑む。これからの経営において、CHROが果たすべき役割はきわめて大きい。第3回はASV(Ajinomoto Group Shared Value)経営の実践に取り組む味の素で、取締役 執行役専務(ダイバーシティ・人財担当)を務める野坂千秋氏に、ご自身のキャリアと人財担当役員としてのミッションについて伺った。

ASVエンゲージメントを高めるマネジメントサイクルとは

ASV(Ajinomoto Group Shared Value)。「従業員エンゲージメントの向上が顧客価値・経済価値を生み、経済価値が従業員に還元され、さらにエンゲージメントを高めるサイクル」が味の素グループの企業価値であるという再定義のもと、従業員一人ひとりが「食と健康の課題解決」に取り組み、ビジョンの実現に貢献しているという実感と、心のうちから湧き上がる情熱を高めるために構築されたマネジメントサイクルのこと。「ASVエンゲージメント向上」と「個人の能力開発」との同期化を図っている。

ASVエンゲージメントを高めるマネジメントサイクルとは
「サステナビリティデータブック2020」より

「交流」と「刺激」で、キャリアは劇的に変わる。

「交流」と「刺激」で、キャリアは劇的に変わる。
林 幸弘

第1回、第2回と貴社の取り組みについてお伺いしてきましたが、ここからはダイバーシティ・人財担当役員である野坂さんの素顔にスポットを当てていきたいと思います。味の素では、従業員一人ひとりが思い描くキャリアの実現に全力で取り組んでいることをご紹介いただきましたが、野坂さんご自身はどのようなキャリアを築いてきたのでしょうか。

野坂 千秋
野坂

研究職として新卒で入社し、長い期間、食品の研究と商品開発に携わってきました。現在、味の素(株)が出している多くの商品の開発や改訂には様々な立場から関わってきました。当時は男女雇用機会均等法が制定される前でしたし、寿退社が当たり前だった時代。まさか、ここまで長く勤めるとは夢にも思いませんでしたね(笑)。その後、食品研究所長時代にダイバーシティ推進を兼任することになり、食品研究所(神奈川県川崎市)と本社を行き来することが増え、そのまま管掌役員として人事領域に移ってきたというのがおおまかな流れです。

林 幸弘

研究開発がバックボーンなんですね。

野坂 千秋
野坂

はい。ただ、今だから言えますけれど、入社7年位までは毎日のように「辞めたい、辞めたい」って思っていましたね。入社して研究所しか知らないで仕事をしていると、そこの常識がすべてになってしまうんですよ。残念ながら、自分自身が最終のお客さまを意識することができていませんでした。ブレークスルーのきっかけとなったのは、テクニカルサービス担当として外食のお客さまと接するミッションを任されたこと。お客さまと直接向き合うことで、これまでにない刺激と意義を得ることができるようになったんです。この機会を通じて、「外食のお客さまが抱える課題を技術で解決する商品をつくろう」と、仕事にも明確な目的とやりがいを感じられるようになりました。これは、当時の上司が悩んでいる私を見て、与えてくれたチャンスだったのですが、本当に「人を見てくれる会社なんだな」と、会社へのエンゲージメントが一気に高まりましたね。

林 幸弘

新たな交流の機会を与えて、狭まっていた視野を広げることは、会社やマネジャーの重要なミッションですよね。

野坂 千秋
野坂

そうですね。味の素(株)という会社は、昔から従業員の成長や機会の提供に積極的だと思います。まだ若手だった頃、外部の研修や体験に参加できる公募プログラムがあって、それを利用してイタリアのシエナの料理学校とヴェローナにあるレストランに調理技術を学びにいったこともありました。

林 幸弘

レストランですか。それは、会社が用意してくれたプログラムですか?

野坂 千秋
野坂

プログラム自体は、私が自分で見つけてきたんです(笑)。「自分で見つけて手を挙げなさい」という制度でしたから、これくらいの予算で、こういった波及効果があるからと申請し、認められれば「行って来い」となるわけです。ヴェローナには約2,000年前に建てられた「アレーナ」という円形闘技場があって、夏になるとそこでオペラが開催され、世界中のセレブが集まります。そうした場所にある、レストランの厨房で働かせてもらったのです。厨房での研修は、想像を超えた厳しいものでしたが、「こうした人たちのこだわりによってイタリアの食文化がつくられ、受け継がれているんだ」と多くの発見があり、その後の開発業務の考え方にも影響を与えたと感じています。

林 幸弘

こうした体験が現在の従業員エンゲージメント施策やキャリアダイバーシティに活かされているんですね。ご自身が経験されたものを一人ひとりの従業員にも届けていく。それが主体的なキャリアにつながっていく。とても素敵なことだと思います。

野坂 千秋
野坂

 「交流」がもたらす刺激や発見には、日々の仕事やキャリアを劇的に変えてくれる力がありますよね。まあ、当時の上司は「イタリア行き」には初め、大反対でしたが(笑)。

同じベクトルのもとで、多方面から企業文化変革を成し遂げる。

同じベクトルのもとで、多方面から企業文化変革を成し遂げる。
林 幸弘

企業の存在価値であるパーパスを軸に、従業員エンゲージメントを高め、それを価値の創出につなげていく。「人的資本経営」へとシフトしていくためには、経営戦略と人事戦略を連動させていくことが必要不可欠です。ダイバーシティ・人財担当役員に求められる役割は、ますます重要になってきますね。

野坂 千秋
野坂

そうですね。経営陣が一つになれていないようでは、企業文化変革を成し遂げることなどできません。社長をはじめ、経営陣とのコミュニケーションは密に取るよう心がけています。また、この取り組みは事業本部、コーポレート部門、労働組合などと一体感を醸成しながら進めていることをお話ししましたが、そこをしっかりと見て、つないでいくことも私のミッションだと思っています。経営会議で決まったことをこのチームが、現場に浸透し易いように考え工夫し、生まれた知恵や取り組みを共有していくイメージですね。更に、社外の専門家や、社外取締役なども巻き込んで、社内の視点、価値観に留まらず、皆で進めて行くことを心掛けています。

林 幸弘

やらされているのではなく、それぞれが主体的に取り組んでいる。なかなか真似できることではありませんね。では、最後に、ここまでの手応えと今後の抱負をお聞かせください。

野坂 千秋
野坂

ビジョンを明確に掲げ、施策の進行とともに理解が進み、従業員一人ひとりの共感度が高まっている。一人ひとりが真摯に取り組んでくれている。私自身、グループの「一体感」を感じることができました。皆とつながり、互いが貢献し合って最終的なお客様の価値を最大化して、お届けしたいと感じているんだなって。今回、「ASV自分ごと化」への第一歩を踏み出せたことで、組織のテーマが自分の仕事や目標につながりやすくなりました。それぞれが持てる強みは何か、自分は何に貢献したいか、すべきかをシンプルに考えられるようになったんです。ただ、食と健康の課題を解決し、環境負荷を50%削減するという明確な目標を達成するには、事業本部を超えた化学反応・イノベーションを起こさなければなりません。ASVエンゲージメントはそのための基盤となるもの。ASVという取組みを通じて、いろいろな方面から、主体的なムーブメントを起こすことで、企業文化変革を成し遂げたいと考えています。

Facebookへ共有 Twitterへ共有 LINEへ共有 noteへ共有

この記事が気に入ったら
フォローしよう!